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【石塚健の目指せMotoGP】第13回 CEVレプソルインターナショナル選手権2021第2戦バレンシア
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- 2021.05.21
【レーシングライダー石塚健の目指せMotoGP】vol.13。スペインのバレンシアサーキットで行われた、第2戦のレポートです!
こんにちは。レーシングライダーの石塚 健です。
今回は、スペインにあるバレンシアサーキットで5月9・10日に行われた、第2戦をレポートします。
日本から、急遽レギュレーションに対応するヘルメットを送ってもらい、革ツナギも現地で職人さんに直してもらえ、なんとか装備は万全の状態で迎える事ができた第2戦。
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開幕戦に引き続きマシントラブルが…
思い通りに走ることができなかった開幕戦の雪辱を晴らそうと、レースWEEKに挑みましたが、今回も開幕戦に引き続き、マシントラブルに悩まされることになります。
レースWEEKのスケジュールは、木曜日に35分間のフリープラクティスが3本、金曜日に40分間のフリープラクティスが2本、土曜日は40分間の公式予選が2本、日曜日は15分間のウォームアップ走行と、19Lapの決勝レースという流れで行われました。
まずは木曜日のフリープラクティス。昨年の最終戦ぶりに走るバレンシアサーキットのコースレイアウトを思い出すところからスタートします。
そして、タイムを詰めていく段階に入るためにピットインしてタイヤを交換してもらい、コースに戻ろうとエンジンをかけるも、全くかかる気配がなく、マシンチェックに時間を取られてしまう繰り返し。
結局、クラッチの不具合でエンジンがかかりにくい状態になっている事が解明されるも、金曜日の走行でも、ギアを変えると激しいチャタリングが発生し、攻める事ができないなど、新たな症状が発生し、直してもらっては確認走行の繰り返しで、十分な走行時間が確保できないまま予選を迎える事になります。
予選は、前日の走行後にクラッチを交換したため、確認のために数周周回してからアタックに入ったのですが、マシンのリア周りから異音が発生。それでも、決勝でのグリッドを賭けた予選を無駄にする訳にはいかないため、恐怖を感じながらも走り切り、なんとかウィーク中のベストタイムを更新することができました。
決勝日の朝は、まさかの雨。レースWEEKを通しても唯一の雨だっただけでなく、天気予報で決勝の時間はドライとなることが予想できたので、本来ならわざわざ滑りやすいレインコンディションの中を、危険を冒してまで走行する意味はないのですが、予選中のマシントラブルを懸念してチームの判断でエンジンを乗せ換えていたため、トラブルが解消されているか、走って確認する必要がありました。
また、開幕戦からトラブル続きとなっている、この流れやチームの雰囲気を変えたいとの思いもあったため、リスキーだから走る必要はないと止めるチーム監督を説得し、雨が降ったりやんだりの微妙なコンディションの中、コースに出る事を決断。ウォームアップを走ってみた結果、マシントラブルが解消されている事も確認することができました。
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決勝レース、赤旗・そしてまさかの…
そして迎えた決勝レース。スタートを決め、一気にポジションを上げるも無理に突っ込んできた他のライダーに押し出される形で、1コーナーでコースアウト。大きくポジションを下げてしまったことに加え、アクセルを開けてもパワーが付いてこないというトラブルが発生します。
唯一確認できる時間だった朝のフリー走行はウェットコンディションだったので気付くことができなかったのですが、それは、ストレートで前のバイクに追いついても、コーナー出口での加速が思うようにできず、離されてしまうという絶望的な症状でした。
そんな状況のなか他者の転倒により、レースは赤旗中断となります。僕にとって、これはチャンスの赤旗。ピットでマシンをチェックしてもらえる事に加え、スタートもやり直すことができます。僕はピットに戻るとすぐに、マシンの症状をメカニックに伝え、マシンをチェックしてもらいました。
しかし、メカニックの答えは、「データをチェックしたが、トラブルは見つからない。申し訳ないけど、このまま行ってもらうしかない。」というものでした。
絶対にそんなはずはないのに。何度も主張しましたが、答えは同じ。僕は残り9周に減算されてリスタートしたレースを、致命的なトラブルを抱えたままのマシンで戦うことになりました。
レース結果は12位。スタートを決め、トラブルをカバーしながら必死で走るも、思うようにポジションを上げることはできませんでした。
レース後、どうしても納得のいかなかった僕は、次戦のためにもマシンをチェックしてくれと、再度メカニックに依頼。その結果、同じくデータに異常はないと言われてしまいますが、絶対にそんなはずはないと何度も主張していると、マシンを全てバラしてチェックをしてくれたようで、最終的なトラブルの原因は、4本あるエキゾーストパイプの1本が抜けていたという初歩的なミスでした。
明らかにアクセルを開けてもパワーが付いてこないのに、データでは異常が見られない。その理由としては、辻褄が合います。
いったいどんな想いで資金を集めて、このレースに参戦しているのか。僕は、悔しくて仕方がありませんでしたが、このチームやメカニックの意識を変えられなかったことも、僕の力不足です。僕はこの第2戦で、実力以前に実力を発揮できる環境作りの難しさや重要性を痛感させられることになりました。
次戦への参戦は、まだ未定という状況ですが、次こそは!この2戦分で学んだことをすべて改善し、納得のいくレースをしてみせます。引き続き、応援よろしくお願いします。
レーシングライダー 石塚健
バイクの窓口編集部